生々しい感触
「離婚するらしいです」
うつむいて黙ってしまった裕之の顔がたちまち暗くなる。
二人掛けソファの隣りに移動した由美子は、思わず裕之の肩を抱いた。
幼い子供のように由美子に抱きついてくる裕之の頭を膝に乗せて髪を優しく撫でてあげる。
じっと動かないでいる裕之の吐く息が、コットンの布地を通して由美子の太腿に熱を伝えてくる。
裕之が頭の位置をずらすと、熱い息が腿の付け根にあたる。
(これって、偶然よね)
裕之がなにかしているわけではないのに、由美子の身体は徐々に熱を帯び始めていた。
母親になったつもりで裕之の髪を優しく撫でていた由美子の手のひらが、裕之の背中に移動して服の下の筋肉を確かめるように滑った。
ワンピースの上から由美子の股間に顔を押し付けた裕之が、そこへ熱い息を吹きかけてくる。
もう、偶然なんかじゃなかった。
「だめよ、やめなさい」
布地を通して感じる裕之の唇の感触が生々しい。
「裕之君、お願いだから、やめて」
(このまま続けられたら、どうにかなってしまいそう)
由美子の股間から顔を上げた裕之は驚くほど大人っぽい表情をしていた。
(どうしてこんなことに、なってしまったの。
社宅で夫の上司の息子と、こんなことして感じてしまうなんて。わたし、どうかしてる)
服の上から熱い息を吹きかけられているだけなのに、由美子の身体は熱くなり下着がじんわりと湿ってきている。
裕之の手がワンピースの裾から入ってきたときも、由美子は拒絶するどころか脚を開いてしまったのだ。
シャワーのあとに身につけた下着はベージュのシンプルなもので、不必要なレースの飾りなどついてないので履き心地がよくて気に入っている。
太腿の内側を這い上がってきた裕之の指先が、ベージュの下着ごしに由美子の丘に触れた。